素振り そして、ボクたちは天使と呼ばれていた

素振り そして、ボクたちは天使と呼ばれていた

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うちの職場に半年ほど前に入ってきたパートさんJ。
私と2歳違いであるが、ここに来る前は25年間、とあるカフェのマネージャーをやっていた。
責任者経験があるだけに、初日から客のあしらいは抜群であった。
来た客は多分、Jがここのマネージャーだと思うであろう。
そんな貫禄と余裕を持ち合わせていたため、私はこの人が数年してうちの全ての仕事内容を把握したら、マネージャー(私は店長と呼んでいるが)になってもおかしくないと思っている。

さてそんな中、うちの2人のチームリーダーのうち1人の(チームリーダーはバイト達スタッフのリーダーの意味)25歳が、このJに対し当りがキツい。
単純に25歳がJと合わないのだと私は見ていてそう思うが、年配のJは気にしていない素振りを貫いている。
それでも、25歳が偉そうに上から言う時、私はJが葛藤している事も見えてしまう。
入って半年なのに、Jが慣れた感じなのも上手に手を抜くのも気に入らないと思う。
それも分かる。

20代の私がそうだった。
20代で人の上に立った時、役職が私をトゲトゲ人間にした。
完璧に仕事をする自分同様、同僚と部下にも同じ完璧さを求めた。
少しのミスも許さず、常にアンテナを張り巡らせ、蛇のような女だったと自分でそう思う。
だから25歳はJの100%ではない、89%の仕事ぶりを許せない。
25歳が許せないのはJだけではないが、Jに対して舐められたくないという気持ちもあるのかも知れない。

金曜日は早朝からブラックフライデーに踊らされた客で大混雑していた店内。
私は朝からJとレジを担当していたのであるが、客が途切れた時にJが私に「あの25歳が私に対してキツイ」という話を持ち出した。

私は言った。
「私もカチンと来る事はある。正直25歳の青二才が偉そうに言うなと思う事もある。でも若さ故の許容範囲の狭さとトゲなのだと分かるから、一歩引いて自分のやるべき事をやるだけ」だと。
Jは少し落ち着いた様子で「そうやな」と笑った。

私がこう言えるのは、イギリスに来た最初の年に打ちのめされる思いをしたからである。
イギリスに来てすぐ、ありつけたのは保育園の仕事であった。
12か月から16か月の赤ちゃんのクラスである。
クラス内の私の上司は18歳と17歳、そして私30歳。
恐ろしいまでに何もしないイギリス人スタッフ18歳と17歳。
私はこの2人に指示されるがまま、およそ1年働いた。
床掃除、オムツ交換、ゴミ捨て、3人ですべき仕事が全て私になった。
しかし英語が上手でなかった私は引けもあり、仕事にありつけるだけ有難いという思いから、保育園経営者に何も言えないまま1年を過ごしたのであった。

毎日、泣きながら帰った。
自分は日本の病院で主任だった、しかしそれが何だというのか・・外国に来て初めて味わった屈辱と挫折感、そこにホームシックが追い打ちをかけ、私の心は音を立てて折れたのだった。
打ちのめされるとはこういう事か、その時初めて知った。
しかし、その経験が私を強くし今に至る。
結局、仕事など金のため。
自分の責任を果たして帰る。
それが仕事である。

私はJにその事を話した。
Jは「弱音を吐いてゴメン、でも有難う」そう言い再び笑顔になった。

時々思う。
私はあのまま日本で主任を続けていたら、何も知らない視野の狭いお山の大将主任であったことである。
それがイギリスに来て下っ端になり、使われる事からここまで来た。
だから経験に無駄無し、父が言った言葉が今はよく理解できると共に、仕事がある身に感謝できるのだと思う。
極寒であるがカーライル生活も無意味ではない。

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こんばんは。
VS嵐はリアタイできていませんが。
見ました・・・ベストアーティスト。
最初から通してみまして。
懐かしい曲を口ずさんだりしながら楽しみました///♪
翔ちゃんも楽しんでいたご様子ですね。
カナちゃんの歌を歌っている姿は。
とっても微笑ましかったです///♪
もう。
イロイロと書きたいことが脳内で散らかっていますが///。
やはりこちら・・・ですよね。

B R A V E

実は私・・・ほぼほぼ初聞きでした///。

なので。

その荒々しさに・・・最初からドキドキしっぱなしです。

艶っぽい潤君とか。

オラオラ翔ちゃん。

美しい智さん。

かっこいいまーくん。

そして。

ニノちゃん。

もうもう。

どれだけ惚れさせるの///というくらい。

素敵な五人でしたよね。

ただ・・・これは我が家のテレビのせいなのかわかりませんが。

青や赤が強く・・・上手くお写真が撮れなくて///。

大苦戦です///。

ここの大宮さん♪・・・と思って撮るとこんな感じで///。

美しい智さんの動きを撮ろうとしても。

これが精いっぱい///。

少し明るくなってやっと。

望むように撮れるようになりました///。

もう・・・ただただニノちゃんに。

くぎ付けです///。

やっぱりちょっと色っぽくなっちゃうニノちゃんとか。

美し過ぎる智さんとか。

翔ちゃんの後ろで指を。

鳴らす素振りの智さんとか。

ここの・・・。
少し斜めの角度とか。
完璧です///。
飛んだニノちゃん。
髪の乱れが。
完璧です///。
キめるお二人の後ろで。
前髪を。
二度も直すニノちゃんに。
そのままでもよいのよ・・・と。
ちょぴっと心で思いました///。
かっこいい三人さんにみとれていたら。

翔ちゃんと目が合って。

この笑顔・・・。
これは。
翔担さんではなくても・・・堕ちますよね///。
赤が強すぎるのですが・・・智さんです///。
智さんの足かと思ったら。
ニノちゃんでしたね///。
そしてそして・・・とっても気になったこちら。
ターンの前に片足あげて一呼吸ありましたよね。
これ・・・は。
みなさん一体何の力で回っているのでしょうか///。
床を蹴る力が使えないのでは?・・・なんて。
すごいな・・・と。
素人ながら思ってしまいました///。
今回は男らしい猛々しい曲・・・ということで。
オラオラ翔ちゃん降臨でしたが。
ニノちゃんも・・・ちょっとオラオラでしたよね。
お口がとがったり。
顎があがっていたり。
重心が後ろだったり。
この・・・サクラップの時のニノちゃん。
頭から。
グインとなって。
そのまま。
重心が後ろ。
オラオラ感がすごいのですが。
手の置き方が・・・独特でかわいくて///。
やっぱりニノちゃんだな・・・と。
思ってしまうのです♪
そしてそして・・・一番大好きなここ。(きっとみなさんもですよね)
まーくんの隣に入りたい///。(いろんな
味で無理ですが///)
これはきっと。
スクラムを意味しているんですよね。
これは余談ですが。
彼のお兄様がずっとラグビーをしていました。
その関係で・・・試合を見に行ったこともありますし。
テレビでも何度かラグビーの試合は見ています。
歌詞にも使われている「one for all」という言葉ですが。
これは・・・有名なのでご存知の方も多いと思います。
ただこの「one for all , all for one」の意味は。
「一人はみんなのために みんなは一人のために」とよく訳されますが。
厳密に言うと・・・本当は意味が少し違うんだそうです。
「一人はみんなのために」は合っているのですが。
後半の「all for one」は。
「みんなは一つ(の目的)のために」なんだそうです。
「目的」は=「勝利」なのですが。
ラグビーは試合中、監督はフィールドにいません。
(無線などでのやりとりはあるようですが)

基本的にはキャプテンが全て決めて。
ゲームメイクをしていきます。
各選手がそれぞれの役割をきっちりと果たし。
ボールを持った一人をタッチライン(ゴール)の向こう側へと送る。
それをこの言葉で表しているそうなんです。
後ろにしかパスできないボール。
前へ飛ばせるのはキックだけ。
それも・・・そのキックされたボールを取れる人も誰でもよい訳ではなくて。
確かルールがあったはずです(曖昧ですいません///)。
とってもルールが難しくて。
説明されても「ん?」となってしまう事も多いのですが///。
分かり始めると・・・とても面白い競技です。
日本でのワールドカップ。
成功しますように♪
お話がそれてしまいましたね//。
最後は。
かわいいかわいい嵐さんで。
お別れです♪
今朝のZIP!の嵐さん。

おっきく腕を広げ。

そのまま。
顔///。
向こうへと。
アウトする智さん。
「ZIP!マーク」も一緒に行ってしまうところがさすがです♪
三人さんのこのガチの笑顔と。
ニノちゃんの優しい瞳と開けっぱなしのお口///。
ありがとう・・・と言ってニノちゃんは手を振っていますが。
このまーくんの笑顔で。
向こうでも何かしていそうな智さんが目に浮かびます。
やっぱりやっぱり。
五人が大好き。
改めて・・・思います♪
one for all
all for one
まるで嵐さんの事みたいですね。
ではでは。
来てくださって、ありがとうございました♪
.

素振りでしたwwwwサーセンwwwwwwwww

今日は一段と疲れた…。
押し付けられた仕事をしっかりと片付け、興味のない飲み会の誘いを適当にすり抜けてきた帰り道。
人気がないことを確認してから、凝った肩を少しでも治そうと首を回しながら歩いていた。
…あんなところでどうしたんだろう。
ふと視線を向けた小さな公園に見つけた小さな子供。ベンチに座り、うつらうつらと危なかっかしく頭を揺らしている。
それもそのはず、大人の私だってあくびが出てしまうような時間。3.4歳だろうか。そんな小さな子は夢の中にいるはずの時間だ。
ご両親はどこだろう。こんなところに置いていくなんて、変な人に連れていかれたら大変。
キョロキョロと辺りを見回してみる。しかし見えるのは静かな街とたまの街灯。ここらに人がいそうな気配はない。
そしてその子も両親を探しているような素振りを見せない。
…もしかして何か事情を抱えた子なのかな。
そうだとしたら声をかけた方がいいかもしれない。何かしらの事情があってもなくても、1人にはしておけない。
「こんばんは」
怖がらせないようにゆっくり近づきそう話しかけると、ピクっと驚いたように動く触り心地が良さそうなもふもふの耳。
…もふもふの耳?
膝に置かれた小さな手をきゅっと握り、恐る恐る潤んだ瞳で私を見つめるこの子の頭には確かに獣…狼のような耳がついていた。
付け耳?ハロウィンはもう過ぎたはず。それともカレンダーを見間違えた?いや、そんなはずがない。あの騒がしさを避けて帰宅した日のことを覚えている。
タイムスリップ?いやいや、そんなことがあるわけがない。いくらなんでも現実味が無さすぎる。
でも、もし仮にそうだとしてもこの耳は確かにピクっと動いた。今だってほら、警戒したように耳が立って…
「このお耳、あなたの?」
そう聞いてもわからないか。我ながら意味のわからない質問だ。この子も首を傾げるだけで、結ばれた唇は開こうとしない。
それともまだちゃんと言葉は理解できないかな?意思疎通できるほど言葉を知らないのかも。
「お母さんとお父さんは?」
「…?おかぁしゃ、おとぁしゃ、ないない」
良かった。ちゃんと話せる。
…なんて安心してもいられない。お母さんとお父さんはいない?やっぱり何か事情があるのだろうか。
「おうちは?」
「う〜…ないない」
フルフルと頭が振られ、耳がぴょこぴょこと可愛らしく揺れる。
家がないことの大変さはまだ理解できていないのだろうか、本人は悲しそうな素振りは見せない。
これは…どうしようか。連れて帰るにも捕まりかねないし、かといって放っておくのも…。
そうこう迷っている間にもこの子のまぶたは重たそうに閉じられていって。
せめて意識があるうちに決めなきゃ。
「お姉さんのお家、来る?」
そう聞いてみれば、小さな手がスーツの袖を掴んで、ぴとっと頭がくっついてくる。
これは首を縦に振ったということでいいのだろうか。
聞き返そうにもこの子の力は抜けていって、ずるずるとしゃがみこんでいく。
もう限界だったのだろうか、危ない危ないと抱っこしてあげても気持ちよさそうな寝息が聞こえるだけで。
…とりあえず家に連れて帰ろう。
今日は疲れた。明日からの休みのためにわざわざ飲み会を断ってきたんだ。
この子のことは明日考えよう。それくらいの時間はあるはず。
ずり落ちてくるこの子を抱き直し、しっかりと抱きしめ公園を出る。相変わらず静かな住宅街に寝息がよく聞こえた。
こんな時間まで眠たかったよね。疲れたよね。
起こさぬようにゆっくり背中を摩ってあげれば、寝息と一緒に深く上下するのがよくわかった。
可愛い…
思わず頬が緩んで、寒さも疲れも吹っ飛んだ気がした。
自分にも子供が産まれたらこんな感じなんだろうか。…いつになることやら。
なんてぼんやりと考えながら撫でていると不意に触れたもふもふの何か。
気づかなかったけどこの子もしかして…
尻尾、ある?
触れてみると黄色のパーカーのフードには2つの、長い裾を折ったジーパンのお尻の部分には1つの小さな穴が空いていて。
そこから耳と同じようなもふもふの尻尾らしきものが覗かせていた。
信じられないけど、触れるとあったかい。
私もこの子と一緒でよっぽど眠いのかも。寝ぼけているのかも。
とりあえずあれもこれも、全部明日に持ち越そう…いや、もう今日になったのかな。
…なんでもいいか。
あくびを1つ。小さなぬくもりを抱きしめながら家へと歩いた。
結局、疲れ果てていた私達は家に帰るなりベッドに倒れ込み、そのまま眠ってしまったようで、しわくちゃのスーツと私にくっつくぬくもりと共に目覚めた。
「あ、ごめんね。起こしちゃった?」
あ〜しわくちゃ…なんて起き上がるとどうやら起こしてしまったようで、重たそうなまぶたが開かれる。
パチパチと瞬きをして、それからう〜んと伸びをする。その動きに合わせてぴょこぴょこと動く耳が可愛らしい。
あぁ、もう慣れちゃったな。

しっぽが生えてる子供なんて見たことも聞いたこともないけど、夢じゃないし。
「おはよう」
 「はよぉ…」
不思議な子だ。
喉、乾いてたんだなぁ…。
お水飲む?と小さなコップに水を注ぎ渡すと、いいの?とでも言うように私を見つめてからコクコクと飲み始めたこの子。
1番小さなコップを選んだけど、それでもこの子にとっては大きいようで、両手で包み込みながら一生懸命に飲む姿が可愛いこと可愛いこと。
私も1杯水を飲み干し、微笑んだ。
そういえば名前はなんて言うんだろう。
名前とかないのかな。いやあるよね。動物界…いや人間界?どっちにしろ誰が誰だか区別するのに必要なものだし。 
「お名前は?」
「…あしゅか」
「あしゅかちゃん?」
「あちゅかっ」
「あちゅか?」
「あ〜ちゅ〜か!」
「…あすかちゃん?」
「あいっ」
舌っ足らずな言葉に手こずりながらやっと教えてもらえたこの子の名前。どうやら「あすか」という名前らしい。
あすかちゃんか…可愛い名前。
「私は橋本奈々未。奈々未って呼んでいいからね」
「なな…み?」
「そう、奈々未。よろしくね」
「よぉちく!」
手を差し出すと、両手で包み込んでくるあすかちゃん。熱いほどにあたたかなその小さな手を、私はそっと握り返した。
「美味しい?」
それにしても、この子の親御さん来ないなぁ。
そりゃもちろん私がこんな子を保護していますなんて言っていないから来るものも来ないのはわかっているんだけど。
「おいち!」
この子が嘘をついているとは思っていないけれど、この子に本当に親がいないことも思ってはいなくて。
「良かった。ふふっ、ごはん粒ついちゃってるよ」
保護して2日目。この子ぐらいの歳なら行方不明でニュースになってもおかしくはない。
理解はできないとはいえ、こんな小さな子に生々しい事件を映すニュースを見せてもいいのかと思いながらも何だかんだつけっぱなしのニュース。
未だにそれらしいニュースは流れてはいなかった。
「ねぇあすか、今日はおでかけしよっか」
朝ごはんに作ったおにぎりを食べるあすかの頬に手を伸ばし、ごはん粒を取る。そのまま口に放り込み聞いてみる。
「おでかけ!!」
明らかに皆とは違う容姿。もしこの子があまり公にしてはいけない存在だとしたら、変なことに巻き込まれたら大変だと昨日は一日中家で過ごしていた。
小さな子が楽しめるようなものなんて、一人暮らし20半ばの私が持っているわけもなく、この子も暇そうにしていたからいい気分転換にはなってくれるだろう。
ぴょこんと反応する耳。ごはん粒だらけの手をばんざいして喜ぶ飛鳥をなだめながら、私もおにぎりを口に放り込んだ。
服も買わなきゃなぁ…。
昨日は私のTシャツを貸してあげたし、昨日洗った服は乾いているものの、外に着ていける服といえば穴の空いた服だけ。
目立つし、おみみ引っ込めたりできる?なんて聞いてもフルフルと首を振るだけ。
耳と尻尾を隠せるぐらいの大きめのものを用意しなきゃ。
そうは思いつつも、この子をずっと保護するわけにもいかない。まぁ1着ぐらいならいいか。
とりあえず今日はあの服で我慢してもらおう。
「…あはは、ちょっとキツイかな?」
身体相応の小さな尻尾だけど、狼の尻尾によく似たこの子の尻尾はそれなりの長さはある。
ズボンの中に仕舞えば、やっぱり違和感があるようで首を傾げては尻尾を探してくるくると回っている。
「でもこれしか服ないから…今日だけは我慢してね。それから、フードは外さないこと。大丈夫?」
「あいっ」
「よし、じゃあ出発!」
「しゅっぱぁちゅ!」
よっぽど嬉しいのかぴょんと立った耳をフードで覆い、小さな手を握った。
あすかのこの姿を見られてはいけない。
へたっぴなスキップをするたびに危なっかしくフードが揺れて、その耳が覗いてしまわないかと息を止めてしまう。
肩に力が入る私とは違い、足取り軽く私の手を引いて歩くあすか。ご機嫌な様子。
今は人通りが少ないから良いとはいえ、これから行くところはそれなりに人はいる。
…そろそろ抱っこして捕獲しようか。
「あすか、おいで」
しゃがみ込んで腕を広げれば、嬉しそうに抱きついてくるあすか。可愛いな〜なんて抱き上げお尻と背中をしっかりと支えてあげる。
見た目からして推測される歳のわりには軽い方だと思う。筋肉には自信が無い私でも軽々と、長時間抱っこできるはず。
今日は服を買うだけではなく、もう1つの大切なミッションがある。
「頑張らなきゃね」
「おー!」
電車を乗り継ぎやってきたのはショッピングモール。人は多いけど、仕方がない。
残念ながら私は近くで子供服が売っている店を知らない。ここに行けばあるだろうという信頼だけで来てしまった。
けれど流石はショッピングモール、あすかに似合いそうな服があちらこちらに。
「あすかはどんな服が好き?」
電車に乗るのは初めてだったのか、はしゃいだテンションそのままのあすかに聞くと、深くかぶったフードを少し持ち上げキョロキョロと見回し指をさす。
その先にはズボンとパーカー。
…好きなんだろうか。
スカートの方が尻尾が隠れるから有難いんだけど、好みならしょうがないか。
営業スマイルで試着を勧める店員さんを焦りながら断り、なんとか大きめのズボンとパーカーを2着購入。
「あしゅがもちゅ!!」と手を伸ばしたあすかにお手伝いしてもらい、すぐにショッピングモールから脱出。次の目的地へと向かう。
ーー警察署。
こんなとこ、普段来る機会なんてないよなぁ…。
見た目は普通の建物。しかし入口の上、中央で圧倒的な存在感を発するシンボルマークが空気が張り詰めるような緊張感を漂わせていた。
あすかを連れて行くには…流石にリスクが高いか。外でちょっと待っていてもらうだけの方が安心だ。
あすかが待っていられればの話だけれど。
「あすか、ちょっとの間ここで待ってられる?」
「うんっ」
腰を落とし、視線を合わせ聞いてみると元気な返事。警察署の敷地内なら変な人もいないだろうし、大丈夫だろう。
「じゃあ私少しあそこにいるから、あすかはここで待っててね」
「あいっ!」
入口の横であすかは待ってもらって、私は急いで中へと入る。
特に大きな事件が起きたわけでもない。ただの確認だから…どこでいいか。
適当に選んだのは幅広い分野を受け持ってそうな受付。
聞くのはもちろんあすかの捜索願らしきものが出されているか。保護してから2日目、そろそろ出されていてもおかしくはないだろう。
「すみません、ここら辺で3.4歳の女の子の捜索願とかって出されていませんか?」
「3.4歳…ここ1ヶ月は出されていないですね。何かありましたか?」
出されていない?
こんな小さな子、いなくなって見つからないならすぐにでも警察に駆け込みそうなものだけど。
「いや、そういうわけではないんですけど…。すみません、ありがとうございました」
…やっぱりあすかに親はいないのだろうか。
でもそれならあすかはどうやって産まれてきたのか。どうやって育ち、あんなところにいたのか。
普通ではないあの容姿。普通が通用するとは思わないけど、すべてを謎のまま受け入れるのも、非現実的すぎる現実を飲み込むのも、難しい。
正直、頭が痛くなる。
でも…飲み込むしかない、か。
捜索願が出ていないということはほぼほぼあすかには親がいないことで間違いない。まだまだ謎は残るけど、私が保護して何もなっていないなら…
「あすか〜お待たせ…ってあれ?」
自動ドアを通りあすかを待たせていたはずの場所に目をやるが、そこにあすかの姿はない。
あれ?どこいった?なんて辺りを見回してみると…
「あっ!」
いつの間にか警備員さんに中に連れてかれていて、不思議そうに警備員さんと手を繋いでいるあすかの姿が目に入る。
あんなところで1人小さな子を待たせておけば、そりゃ警備員さんは不思議に思って中に連れていくのも頷けて。あぁ、何やってるんだろう。
あんな至近距離で、しかも警察署で。見られたら終わりだ。
「あすか!」
閉まりかけの自動ドアをすり抜け、走った勢いそのままあすかを抱き上げる。
びくっと驚き不思議そうに私を見つめるあすかをしっかり抱きしめた。
「すみませんうちの子が。少し外で待たせておいたんですけど」
「そうでしたか、こちらこそすみませんでした」
あ、危なかった…。
咄嗟の適当な言い訳で何とか切り抜け、警察署から退散。
警察署の影さえ見えなくなるまで、ドキドキと速い鼓動は治まらなかった。
「大丈夫?怖くなかった?」
「だいじょぶっ」
「そっか、良かった」
フードの下から変わらぬ笑顔を向けるあすかに、肩の力がふっと抜ける。
あのままフードを外されていたと思うとゾッとする。
狼のような耳。普通じゃないということが、この世からどんな目を向けられるか、この子はまだ知らなくていい。
この子が望むのなら、私がこの子を守ろう。
「ねぇあすか。
私と家族にならない?」
「かじょく?」
今日は長い間連れ回してしまった。
腕の中、ぴとっとくっつくあすかはあたたかく、柔く袖を掴む小さな手は今にも力を失ってしまいそうだった。
あすかに重大な選択を取らせる時はいつも眠たそうだ。今回は私が悪いのだけれど。
「そう、家族。あすかが望む間、私とずっと一緒にいられる場所だよ」
「うん、なりゅ…。
あしゅ、ななみのこと、しゅ
…」
「ふふっ、私もあすかのこと好きだよ。おやすみ」
ぽんぽんと優しく背中に触れれば、小さな寝息が聞こえてくる。あすかを拾ったあの日と同じように。
さぁ、帰ろうか。私達の家に。

家族で健康。素振り

皆様こんにちは
最近頭が寒くて
夜中目を覚まします真顔
ゲーハーには辛い季節がやってまいりましたね
いや~
昨日も寒かったですわよ~
夜は道路も凍ってて
ちょいとビビりました私。
テッカテカアイスバーンの
結構急な下り坂のカーブ
こわすぎーゲロー
ロードヒーティングになってない意味がまったくわからないーゲロー
はい
そんな雪降る中
昨日わたくし
旧友と10年ぶりに会ってまいりました~
正確には12年ぶり。
10代だった彼女は31歳になっていて
久々に会う彼女は
びっくりするほど変わっておらずポーン
自然体で
のほほんとしてるかと思いきや
実は芯のある
しっかりはっきりとした性格
あ~
そうだったそうだった
彼女ってこういう人だったんだよなぁ
いろんな話をしながら
そんな事を考えていました。
この会えてなかった10年の時間の中で思っていた私の彼女への印象は
おっとりしていて
みんなに優しくて
いつも笑っていて
どちらかというとアクが無いような
素直な女の子
だからきっと病気の話をしたら
ショックを受けて泣いちゃうんじゃないかしら…
気を使って自分の話なんかできなくなっちゃうかもしれないなぁ…
なんて思っていたのです。
なので
楽しい会話の中
んー
なんか
今日言わなくてもいいかなぁ別に
今度軽くメールとかで
実はさーなんて話してみようかしら
そう思っていたのですが…
色々話す中で
彼女の子供の時の話になり
驚くことに
「私が中学の時にお母さんがね乳がんになったんだけどね」
そう話始めたのです
私びっくりして
思わず
あ、やっぱり今伝えよう
そう思い
あのね
今言ってたお母さんの病気の話
実は
私もそうなのよ
今日言おうか迷ってて…
やっぱり言わなくていいかなぁとも思ったんだけど
そんな時にお母さんの話してくれたから
あ、これ今だよな!って思って…
そう言うと
え?!ちーさんが?!
と驚いてはいたけれど
そうだったんだね~と
過度に心配する素振りも
無理に明るく振る舞う素振りもせずに
ものすごく自然に受け入れてくれました。
そう
彼女は私が思うよりもずっと
強くて頼もしい人だったのです
私のお母さんも
手術をして抗がん剤もしたけれど
抗がん剤がとても辛く
悩んだ末に止める決断をして
ホルモン療法だけを8年やり
15年経った今も元気にしている。そう話してくれました
そばでお母さんの闘病を見て支えてきた彼女だから
なんだかスムーズに話が進んで
余計な説明も必要なかったし
本当に話せてよかった。
そして病気の話はその一瞬だけで
あとは昔遊んでた時の話や
会っていなかった10年の間に起こった色々な話をゲラゲラ笑いながらして
ランチのお店に閉店近くまで居たあと
カフェへ移動し、カフェの閉店時間まで話をしました笑笑
(どんだけー)
なんで女子ってこんなにも話がつきないんでしょうかね
そして彼女は
お母さんがガンになった時
お父さんは他にいい人ができて家に帰ってこなくなってしまって
その時中学生だった彼女は
弟と共に出来る限りお母さんを支え
お母さんも子供たちに心配をかけないよう
懸命に戦ったと、話してくれました。
その後子供のため、と
踏ん切りをつけられないお母さんに
「もうお母さん離婚しよう。無理するのはもうやめよう!」
そう彼女が背中を押し
お母さんは離婚に踏み切った、と。
そんな話に私思わず胸と目頭が熱くなり
お母さんの気持ちや彼女の気持ちを想像すると
簡単にかけられる言葉は見つからず
あぁそっかぁ…
彼女から感じるこの揺るがない強さは
こういうことで身に付いたものだったんだなぁ
強くならざるを得なかったんだなぁ
そう感じたのです
人生って色々だなぁ
ほんとに
みんな色々あるのよね
10年前はこんな話したことなかったなぁ
しなかったのか
できなかったのかわからないけれど
今はこんなに深い話ができて
昔よりももっと
楽しい時間を過ごすことができる
しみじみとご縁を感じておりました、わたし
彼女もちょうど
仕事を辞めようか悩んでいたらしく
私に会えて
病気の話も含めて色々と話せて
収穫があったよう
本当に会えてよかった!と
ガッキーばりの爽やかスマイルで言ってくれました~
車を降りる間際に彼女が
「なんか、うん。ちーさんは大丈夫。なんかそういう気が出てるから、ちーさん大丈夫だわ!」
そう言ってくれたのです
またすぐに会う約束をして
私はなんだかとても温かい充実感を胸に家路へとついたのです
みなさま色々とご相談にのってくださって
本当にありがとうございました!
おかげさまで
病気の事話したって意外と大丈夫よ~
というお姉さまやお兄さまからのアドバイスに勇気づけられまして
先輩の言うことは聞くものですね~
↑なぜか上から目線ー笑
さすがっす!パイセン! 
↑イラッとするー
どうぞこれからもご指導ご鞭撻のほど
よろしくお願いいたしますゴルゴ?
↑調子いいタイプ
とても居心地のよいカフェでございました。
閉店までいてごめんあそばせ
ニヤニヤしながら私の動画撮る彼女
を、ニヤニヤしながら撮る私。
楽しい時間にパワーをもらった1日でした!
それでは今日はこのへんで
失礼いたします

素振りにまつわる噂を検証してみた

今日は一段と疲れた…。
押し付けられた仕事をしっかりと片付け、興味のない飲み会の誘いを適当にすり抜けてきた帰り道。
人気がないことを確認してから、凝った肩を少しでも治そうと首を回しながら歩いていた。
…あんなところでどうしたんだろう。
ふと視線を向けた小さな公園に見つけた小さな子供。ベンチに座り、うつらうつらと危なかっかしく頭を揺らしている。
それもそのはず、大人の私だってあくびが出てしまうような時間。3.4歳だろうか。そんな小さな子は夢の中にいるはずの時間だ。
ご両親はどこだろう。こんなところに置いていくなんて、変な人に連れていかれたら大変。
キョロキョロと辺りを見回してみる。しかし見えるのは静かな街とたまの街灯。ここらに人がいそうな気配はない。
そしてその子も両親を探しているような素振りを見せない。
…もしかして何か事情を抱えた子なのかな。
そうだとしたら声をかけた方がいいかもしれない。何かしらの事情があってもなくても、1人にはしておけない。
「こんばんは」
怖がらせないようにゆっくり近づきそう話しかけると、ピクっと驚いたように動く触り心地が良さそうなもふもふの耳。
…もふもふの耳?
膝に置かれた小さな手をきゅっと握り、恐る恐る潤んだ瞳で私を見つめるこの子の頭には確かに獣…狼のような耳がついていた。
付け耳?ハロウィンはもう過ぎたはず。それともカレンダーを見間違えた?いや、そんなはずがない。あの騒がしさを避けて帰宅した日のことを覚えている。
タイムスリップ?いやいや、そんなことがあるわけがない。いくらなんでも現実味が無さすぎる。
でも、もし仮にそうだとしてもこの耳は確かにピクっと動いた。今だってほら、警戒したように耳が立って…
「このお耳、あなたの?」
そう聞いてもわからないか。我ながら意味のわからない質問だ。この子も首を傾げるだけで、結ばれた唇は開こうとしない。
それともまだちゃんと言葉は理解できないかな?意思疎通できるほど言葉を知らないのかも。
「お母さんとお父さんは?」
「…?おかぁしゃ、おとぁしゃ、ないない」
良かった。ちゃんと話せる。
…なんて安心してもいられない。お母さんとお父さんはいない?やっぱり何か事情があるのだろうか。
「おうちは?」
「う〜…ないない」
フルフルと頭が振られ、耳がぴょこぴょこと可愛らしく揺れる。
家がないことの大変さはまだ理解できていないのだろうか、本人は悲しそうな素振りは見せない。
これは…どうしようか。連れて帰るにも捕まりかねないし、かといって放っておくのも…。
そうこう迷っている間にもこの子のまぶたは重たそうに閉じられていって。
せめて意識があるうちに決めなきゃ。
「お姉さんのお家、来る?」
そう聞いてみれば、小さな手がスーツの袖を掴んで、ぴとっと頭がくっついてくる。
これは首を縦に振ったということでいいのだろうか。
聞き返そうにもこの子の力は抜けていって、ずるずるとしゃがみこんでいく。
もう限界だったのだろうか、危ない危ないと抱っこしてあげても気持ちよさそうな寝息が聞こえるだけで。
…とりあえず家に連れて帰ろう。
今日は疲れた。明日からの休みのためにわざわざ飲み会を断ってきたんだ。
この子のことは明日考えよう。それくらいの時間はあるはず。
ずり落ちてくるこの子を抱き直し、しっかりと抱きしめ公園を出る。相変わらず静かな住宅街に寝息がよく聞こえた。
こんな時間まで眠たかったよね。疲れたよね。
起こさぬようにゆっくり背中を摩ってあげれば、寝息と一緒に深く上下するのがよくわかった。
可愛い…
思わず頬が緩んで、寒さも疲れも吹っ飛んだ気がした。
自分にも子供が産まれたらこんな感じなんだろうか。…いつになることやら。
なんてぼんやりと考えながら撫でていると不意に触れたもふもふの何か。
気づかなかったけどこの子もしかして…
尻尾、ある?
触れてみると黄色のパーカーのフードには2つの、長い裾を折ったジーパンのお尻の部分には1つの小さな穴が空いていて。
そこから耳と同じようなもふもふの尻尾らしきものが覗かせていた。
信じられないけど、触れるとあったかい。
私もこの子と一緒でよっぽど眠いのかも。寝ぼけているのかも。
とりあえずあれもこれも、全部明日に持ち越そう…いや、もう今日になったのかな。
…なんでもいいか。
あくびを1つ。小さなぬくもりを抱きしめながら家へと歩いた。
結局、疲れ果てていた私達は家に帰るなりベッドに倒れ込み、そのまま眠ってしまったようで、しわくちゃのスーツと私にくっつくぬくもりと共に目覚めた。
「あ、ごめんね。起こしちゃった?」
あ〜しわくちゃ…なんて起き上がるとどうやら起こしてしまったようで、重たそうなまぶたが開かれる。
パチパチと瞬きをして、それからう〜んと伸びをする。その動きに合わせてぴょこぴょこと動く耳が可愛らしい。
あぁ、もう慣れちゃったな。

しっぽが生えてる子供なんて見たことも聞いたこともないけど、夢じゃないし。
「おはよう」
 「はよぉ…」
不思議な子だ。
喉、乾いてたんだなぁ…。
お水飲む?と小さなコップに水を注ぎ渡すと、いいの?とでも言うように私を見つめてからコクコクと飲み始めたこの子。
1番小さなコップを選んだけど、それでもこの子にとっては大きいようで、両手で包み込みながら一生懸命に飲む姿が可愛いこと可愛いこと。
私も1杯水を飲み干し、微笑んだ。
そういえば名前はなんて言うんだろう。
名前とかないのかな。いやあるよね。動物界…いや人間界?どっちにしろ誰が誰だか区別するのに必要なものだし。 
「お名前は?」
「…あしゅか」
「あしゅかちゃん?」
「あちゅかっ」
「あちゅか?」
「あ〜ちゅ〜か!」
「…あすかちゃん?」
「あいっ」
舌っ足らずな言葉に手こずりながらやっと教えてもらえたこの子の名前。どうやら「あすか」という名前らしい。
あすかちゃんか…可愛い名前。
「私は橋本奈々未。奈々未って呼んでいいからね」
「なな…み?」
「そう、奈々未。よろしくね」
「よぉちく!」
手を差し出すと、両手で包み込んでくるあすかちゃん。熱いほどにあたたかなその小さな手を、私はそっと握り返した。
「美味しい?」
それにしても、この子の親御さん来ないなぁ。
そりゃもちろん私がこんな子を保護していますなんて言っていないから来るものも来ないのはわかっているんだけど。
「おいち!」
この子が嘘をついているとは思っていないけれど、この子に本当に親がいないことも思ってはいなくて。
「良かった。ふふっ、ごはん粒ついちゃってるよ」
保護して2日目。この子ぐらいの歳なら行方不明でニュースになってもおかしくはない。
理解はできないとはいえ、こんな小さな子に生々しい事件を映すニュースを見せてもいいのかと思いながらも何だかんだつけっぱなしのニュース。
未だにそれらしいニュースは流れてはいなかった。
「ねぇあすか、今日はおでかけしよっか」
朝ごはんに作ったおにぎりを食べるあすかの頬に手を伸ばし、ごはん粒を取る。そのまま口に放り込み聞いてみる。
「おでかけ!!」
明らかに皆とは違う容姿。もしこの子があまり公にしてはいけない存在だとしたら、変なことに巻き込まれたら大変だと昨日は一日中家で過ごしていた。
小さな子が楽しめるようなものなんて、一人暮らし20半ばの私が持っているわけもなく、この子も暇そうにしていたからいい気分転換にはなってくれるだろう。
ぴょこんと反応する耳。ごはん粒だらけの手をばんざいして喜ぶ飛鳥をなだめながら、私もおにぎりを口に放り込んだ。
服も買わなきゃなぁ…。
昨日は私のTシャツを貸してあげたし、昨日洗った服は乾いているものの、外に着ていける服といえば穴の空いた服だけ。
目立つし、おみみ引っ込めたりできる?なんて聞いてもフルフルと首を振るだけ。
耳と尻尾を隠せるぐらいの大きめのものを用意しなきゃ。
そうは思いつつも、この子をずっと保護するわけにもいかない。まぁ1着ぐらいならいいか。
とりあえず今日はあの服で我慢してもらおう。
「…あはは、ちょっとキツイかな?」
身体相応の小さな尻尾だけど、狼の尻尾によく似たこの子の尻尾はそれなりの長さはある。
ズボンの中に仕舞えば、やっぱり違和感があるようで首を傾げては尻尾を探してくるくると回っている。
「でもこれしか服ないから…今日だけは我慢してね。それから、フードは外さないこと。大丈夫?」
「あいっ」
「よし、じゃあ出発!」
「しゅっぱぁちゅ!」
よっぽど嬉しいのかぴょんと立った耳をフードで覆い、小さな手を握った。
あすかのこの姿を見られてはいけない。
へたっぴなスキップをするたびに危なっかしくフードが揺れて、その耳が覗いてしまわないかと息を止めてしまう。
肩に力が入る私とは違い、足取り軽く私の手を引いて歩くあすか。ご機嫌な様子。
今は人通りが少ないから良いとはいえ、これから行くところはそれなりに人はいる。
…そろそろ抱っこして捕獲しようか。
「あすか、おいで」
しゃがみ込んで腕を広げれば、嬉しそうに抱きついてくるあすか。可愛いな〜なんて抱き上げお尻と背中をしっかりと支えてあげる。
見た目からして推測される歳のわりには軽い方だと思う。筋肉には自信が無い私でも軽々と、長時間抱っこできるはず。
今日は服を買うだけではなく、もう1つの大切なミッションがある。
「頑張らなきゃね」
「おー!」
電車を乗り継ぎやってきたのはショッピングモール。人は多いけど、仕方がない。
残念ながら私は近くで子供服が売っている店を知らない。ここに行けばあるだろうという信頼だけで来てしまった。
けれど流石はショッピングモール、あすかに似合いそうな服があちらこちらに。
「あすかはどんな服が好き?」
電車に乗るのは初めてだったのか、はしゃいだテンションそのままのあすかに聞くと、深くかぶったフードを少し持ち上げキョロキョロと見回し指をさす。
その先にはズボンとパーカー。
…好きなんだろうか。
スカートの方が尻尾が隠れるから有難いんだけど、好みならしょうがないか。
営業スマイルで試着を勧める店員さんを焦りながら断り、なんとか大きめのズボンとパーカーを2着購入。
「あしゅがもちゅ!!」と手を伸ばしたあすかにお手伝いしてもらい、すぐにショッピングモールから脱出。次の目的地へと向かう。
ーー警察署。
こんなとこ、普段来る機会なんてないよなぁ…。
見た目は普通の建物。しかし入口の上、中央で圧倒的な存在感を発するシンボルマークが空気が張り詰めるような緊張感を漂わせていた。
あすかを連れて行くには…流石にリスクが高いか。外でちょっと待っていてもらうだけの方が安心だ。
あすかが待っていられればの話だけれど。
「あすか、ちょっとの間ここで待ってられる?」
「うんっ」
腰を落とし、視線を合わせ聞いてみると元気な返事。警察署の敷地内なら変な人もいないだろうし、大丈夫だろう。
「じゃあ私少しあそこにいるから、あすかはここで待っててね」
「あいっ!」
入口の横であすかは待ってもらって、私は急いで中へと入る。
特に大きな事件が起きたわけでもない。ただの確認だから…どこでいいか。
適当に選んだのは幅広い分野を受け持ってそうな受付。
聞くのはもちろんあすかの捜索願らしきものが出されているか。保護してから2日目、そろそろ出されていてもおかしくはないだろう。
「すみません、ここら辺で3.4歳の女の子の捜索願とかって出されていませんか?」
「3.4歳…ここ1ヶ月は出されていないですね。何かありましたか?」
出されていない?
こんな小さな子、いなくなって見つからないならすぐにでも警察に駆け込みそうなものだけど。
「いや、そういうわけではないんですけど…。すみません、ありがとうございました」
…やっぱりあすかに親はいないのだろうか。
でもそれならあすかはどうやって産まれてきたのか。どうやって育ち、あんなところにいたのか。
普通ではないあの容姿。普通が通用するとは思わないけど、すべてを謎のまま受け入れるのも、非現実的すぎる現実を飲み込むのも、難しい。
正直、頭が痛くなる。
でも…飲み込むしかない、か。
捜索願が出ていないということはほぼほぼあすかには親がいないことで間違いない。まだまだ謎は残るけど、私が保護して何もなっていないなら…
「あすか〜お待たせ…ってあれ?」
自動ドアを通りあすかを待たせていたはずの場所に目をやるが、そこにあすかの姿はない。
あれ?どこいった?なんて辺りを見回してみると…
「あっ!」
いつの間にか警備員さんに中に連れてかれていて、不思議そうに警備員さんと手を繋いでいるあすかの姿が目に入る。
あんなところで1人小さな子を待たせておけば、そりゃ警備員さんは不思議に思って中に連れていくのも頷けて。あぁ、何やってるんだろう。
あんな至近距離で、しかも警察署で。見られたら終わりだ。
「あすか!」
閉まりかけの自動ドアをすり抜け、走った勢いそのままあすかを抱き上げる。
びくっと驚き不思議そうに私を見つめるあすかをしっかり抱きしめた。
「すみませんうちの子が。少し外で待たせておいたんですけど」
「そうでしたか、こちらこそすみませんでした」
あ、危なかった…。
咄嗟の適当な言い訳で何とか切り抜け、警察署から退散。
警察署の影さえ見えなくなるまで、ドキドキと速い鼓動は治まらなかった。
「大丈夫?怖くなかった?」
「だいじょぶっ」
「そっか、良かった」
フードの下から変わらぬ笑顔を向けるあすかに、肩の力がふっと抜ける。
あのままフードを外されていたと思うとゾッとする。
狼のような耳。普通じゃないということが、この世からどんな目を向けられるか、この子はまだ知らなくていい。
この子が望むのなら、私がこの子を守ろう。
「ねぇあすか。
私と家族にならない?」
「かじょく?」
今日は長い間連れ回してしまった。
腕の中、ぴとっとくっつくあすかはあたたかく、柔く袖を掴む小さな手は今にも力を失ってしまいそうだった。
あすかに重大な選択を取らせる時はいつも眠たそうだ。今回は私が悪いのだけれど。
「そう、家族。あすかが望む間、私とずっと一緒にいられる場所だよ」
「うん、なりゅ…。
あしゅ、ななみのこと、しゅ
…」
「ふふっ、私もあすかのこと好きだよ。おやすみ」
ぽんぽんと優しく背中に触れれば、小さな寝息が聞こえてくる。あすかを拾ったあの日と同じように。
さぁ、帰ろうか。私達の家に。


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あっ素振りした方が良いんだっけ?伝説ロム来ました!(素振り)伝説ロム来ました!(素振り)伝説ロム来ました!(素振り)伝説ロム来ました!(素振り)(石を買って砕け)(これが社会人だ)(素振りで差をつけろ)
たくさんの感想とイラストありがとうございます! (素振り)

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