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さて本日は酵素特集その後半戦の記事となります!
前回は【酵素“こうそ”】という物質が一体何ものでどのような効果を持っているのか?また現在どのように利用されているのか?を簡単に解説しました。
酵素とは主に特定物質を「分解」するタンパク質の一種で、
消化分解などの生体活動で非常に重要な役割を担っています。
さらにその作用を応用して昨今では化粧品やサプリメント、洗剤などの分野でも利用が進められてきていますね!
詳しくは前回の記事をご確認ください!↓
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そこで今回はその特殊な作用の裏側に隠された(?)酵素の『弱点』や『デメリット』についてまとめていきたいと思います!
まぁ酵素系の話はかなり以前から沢山の方が注意喚起しているため
聞いたことのある内容も多いとは思いますが、
ご存知だった方も再確認して頂ければ幸いです!
◎酵素の弱点 ・・・【とても壊れやすい!】
『酵素』という物質は上記でも解説しているように「タンパク質」の一種ですが、
タンパク質はとても構造の壊れやすい『球状タンパク質』と比較的頑丈な『繊維状タンパク質』の2種類に大きく分類できます。
<球状タンパク質>・・・分子量が比較的小さく壊れやすい。特殊な生理作用を有する場合が多い。
- アルブミン
- ミオグロビン
- ヘモグロビン
- 白血球&赤血球
- 酵素類 など
体内で多くの生理的な作用を担当しているタンパク質で、
膨大な種類が存在していて動物の生命活動にとても大切な働きをしています。
非常に小さく一般的には肉眼で見ることは出来ません。
ただしその特殊な作用を持つ所以から
自分にとって適切な環境以外では構造が破壊されやすく、
様々な外部要因でその機能を失う特徴があります。
これは予めそのタンパク質が体内の別の部位に運ばれた時に不要な活動をしないように設計されているからとも言われていますね。
卵白の主成分は「アルブミン」という球状タンパク質ですが、
これも多少加熱しただけで固まってしまいますし非常に脆い特徴が見受けられます。
<繊維状タンパク質>・・・コラーゲンやケラチン、エラスチンなど生き物の構造骨格や外殻を形作っている超巨大なタンパク質で、これは実際に眼で見ることも可能です。
皮膚や髪や爪はケラチンの固まりですし、皮膚の内部の肉質や軟骨などはコラーゲンの固まりです。
あまりに巨大なので比較的強靭で頑丈に出来ているものが多いですね。
酵素はこのうちの代表的な『球状タンパク質』です。
こちらは唾液の中に含まれている「糖」を分解する酵素【アミラーゼ】ですね。
ぐちゃぐちゃしていてとっても複雑な構造をしているのが分かるかと思いますが、、
酵素を含め球状タンパク質のイメージは『精密機械』を連想して頂くと良いと思います。
様々な回路を組み込んだ複雑極まりないカラクリ仕掛けなので、
ちょっとした衝撃や浸水などなどでいとも簡単に壊れてしまいますね。
酵素も同じくちょっとした刺激や自分が得意な環境以外に晒されると簡単に壊れてしまいます。
例えばアミラーゼはpH=7程度の中性環境でなければ上手に作用せず、
強酸などにさらされると簡単に壊れてしまう酵素です。
このような「強酸で破壊される」という酵素は非常に多く、
強酸に耐性を持っていないほぼ全ての酵素は【胃】で胃液(塩酸)により破壊されてしまいます。
胃液中で活動可能の酵素は先の記事でも紹介した『ペプシン』などのタンパク質分解酵素が基本で、
サプリメントなどで沢山の種類の様々な酵素を体内に摂り入れたとしても
胃酸で破壊されてしまうためほとんど何の効果も得られない場合が多いのです。
このことからサプリメントとして摂取する『酵素』にはダイエット作用や消化促進の効果などが期待されていますが、
そのほとんどが実際には何の効果も無いのではないか?と噂されています。
中には強酸性条件で動く酵素もあるので全く効果無しと言うのは言いすぎかもしれませんが、
少なくとも人間の体内で働ける酵素はとても稀であり
実際に野菜などから酵素そのものを摂り入れたとしても
野菜と人間の体内では環境が全く異なるため
そういった類の酵素はほぼ無意味と考えるのが自然です。
◎酵素のデメリット①・・・【皮膚・粘膜曝露でアレルギーのリスク
!?】
これは一般に化粧品や衣類洗剤などで利用したときの問題として指摘されていることですが、
一部の酵素は使用の仕方や触れる部位によってアレルギーを誘発するリスクがあります。
そもそも酵素のような【球状タンパク質】はウイルスや細菌などと形が似ている場合があるため
本来の経路以外で体内に不当に侵入して来た場合に免疫機能が誤作動してアレルギーを発症してしまうことがあるのです。
これは少し前のリスク研究でも明らかになっており、
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特に『パパイン』などのタンパク質分解酵素がバリア機能を失った皮膚や粘膜から侵入してきた際に
有意にこのようなリスクがアップすることが度々注意喚起されています。
パパインを含めたタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)は近年化粧品や衣類洗剤に頻繁に利用されておりますが、
アトピーなどで肌が弱っている人や眼粘膜周囲での使用、さらに下着などの衣類の洗浄などが
このアレルギーの誘発に寄与する可能性が十分にあります。
ちなみに、
食品として経口摂取したときの酵素のアレルギーや毒性のリスクは、
国内外の文献を調査してもほとんどヒットしません。
つまり食品としての酵素の摂取は基本的にはほぼ安全であるということです。
これは当然と言えば当然ではあります。
確かに球状タンパク質はアレルゲンとして働く率が非常に高い物質ですが
胃などの消化器を通すとほとんどの酵素が破壊されてペプチドやアミノ酸まで分解されるため
血中などに取り込まれる際には無害の物質に変わっているのです。
なので経口摂取ではほとんどの酵素が無害ということになります。
むろん破壊されてしまう以上積極的な摂取に意味があるか?というとかなり微妙ですが、
安全性の面では一応クリアしていると言えそうですね。
ただ上記のように「皮膚」や「粘膜」など消化作用を持たない器官からの侵入では酵素がそのままの形で体内に取り込まれてしまうため、
アレルギーを発症するリスクが生じるというわけです。
(逆に食用の酵素も分解されずに吸収されるような場合には十分アレルギー発症のリスクを持つということでもあります。)
◎酵素のデメリット②・・・【皮膚接触で刺激の原因にも!】
また当ブログでも何度も何度も扱っている話ですが、
化粧品や洗剤に配合されている『タンパク質分解酵素』は皮膚の表面の角質がタンパク質であることを応用して配合されています。
タンパク質を分解して普通の洗剤だけでは落としきれない角質汚れなどをより強く落とせるようになっているわけですね。
これを強く作用させれば例えば「毛穴の角栓」や「カサカサの皮向け」などもツルッと落とせるようになるため、
パパインやプロテアーゼなどを配合した「酵素洗顔料」は常に女性人気の高いアイテムとなっています。
しかしよくよく考えてみれば老廃角質や角栓だけではなく普通の皮膚そのものも同じタンパク質の固まりです。
実際には要らない角質だけ分解されるわけではなく健常な皮膚も分解作用を受けてしまうため、
このタイプの洗顔料などを毎日使用すると、
どんどん健康な肌が削られていって正常な肌バリアを失ってしまうことも想起されます。
このリスクは巷に溢れる「ピーリング系コスメ」と同じです。
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特にバリアが弱まると様々な外部刺激によって炎症を起こしやすくなるので、
酵素系の洗顔料は使用しても【週に一回程度】を目安に使用するのがベターです。
さらに、
衣類洗剤に配合されている「酵素」も皮膚刺激の一因になることがあります。
酵素は複雑な構造をしているので衣類にも残留しやすく濯ぎ一回程度では基本的には完全に洗い流されることはありません。
洗浄後の衣類(肌着等)に残った酵素が肌に付着するとタンパク質を分解して痒みに繋がることがあります。
ちなみにかずのすけもアトピーですが、
やはり酵素入りの洗剤を使うと肌着が触れた部位がとても痒くなります・・・。
洗濯物が原因の肌荒れやアトピーの症状は柔軟剤とセットでこの「酵素」も大きく関係していると僕は考えています。
出来れば肌が弱いお子さんなどの衣類の洗浄は、
酵素の入っていないものを使用する方が安心です。
◎酵素の弱点とデメリットまとめ
というわけで以上をまとめるとこのような感じになります!
個人的には「酵素」という成分を食品で補給したり化粧品や洗剤に利用するのはあまり良いことばかりではないのではないかと考えています。
人によっては得られるメリットよりデメリットの方が大きくなってしまう場合がありますので、
酵素系の商品を利用する場合には必ずその機構や弱点を理解して上手に使用したいところです。
あとそう言えば上に書く部分がなかったのですが、
酵素は酸性やアルカリ性などのpH環境だけでなく、冷たい暖かいなどの「温度条件」にも大きく依存してその効果の強さを変えます。
こういう不確定な要素が多いだけに消費者が軽い気持ちで使用するには少し荷が重いのではないかと思うことも多いです。
なんだか一般的には【酵素=とりあえず良い物】みたいに扱われていますが、
正直なところこれはメーカーさんの単なるイメージ戦略でしかないのではないでしょうか。
実際には酵素という成分は中々特殊な成分ですので
イメージだけでとりあえず使ってみようとか食べてみようとか考えるのではなく
ちゃんとその物質がどういうものなのかを理解して正しくご利用頂きたいと思います。
もちろんこれは「酵素」だけに言える話ではありませんけどね!
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2月26日新規医薬品が薬価収載され、少しずつ発売が開始されています。
新規薬価収載品目はこちら。
(閲覧するには登録が必要です)
全ての薬剤についてここに書きませんが(苦笑)、
主に「服薬指導のエッセンス」掲載表に関係するものについて書いていこうと思っています。
ここで取り上げるのは、新規C型肝炎治療薬のエプクルーサ。
(閲覧するには登録が必要です)
どういうメカニズムで効くかは、私の担当分野でないので、ここでは触れません(苦笑)。
ソホスブビル400mgとベルパタスビル100mgの合剤です。
【効能・効果】
前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
ポイントは、C型非代償性肝硬変に適応のある唯一の薬剤ということ。
(参考)
腹水・黄疸・下腿浮腫・肝性脳症などの肝機能の低下・門脈圧亢進症による症状が、いずれも見られない場合を代償性肝硬変、一つでも見られる場合を非代償性肝硬変と言います。
つまり、非代償性肝硬変とは、かなり進行した肝硬変ということですね(すごくザックリと表現)。
これまでのC型肝炎治療薬の適応は、「C型慢性肝炎」か「C型代償性肝硬変」でした。
もう一つのポイントは「前治療歴」を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変に適応があるということ。
「全治療歴」とは、 「NS5A阻害剤、NS3/4Aプロテアーゼ阻害剤又はNS5Bポリメラーゼ阻害剤の前治療歴」と添付文書に記載されています。要するに、インターフェロンフリー療法は、全てこれに該当します。
【用法・用量】
1. 前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
「リバビリン(レベトール)との併用において、通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして100mg)を24週間経口投与する」
※エプクルーサと併用されるリバビリンはレベトールのみ(コペガスには適応なし)。
2. C型非代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善
「通常、成人には、1日1回1錠(ソホスブビルとして400mg及びベルパタスビルとして100mg)を12週間経口投与する」
つまり、
・エプクルーサ+レベトール→前治療歴を有するC型慢性肝炎又はC型代償性肝硬変→24週間
・エプクルーサ単独→ C型非代償性肝硬変→12週間
ということになります。
それでは「服薬指導のエッセンス」掲載表に追加しておきます。
なお、以下の過去記事も参考にしてください。